六花荘で使う素材のサンプルが届きました。
賃貸でも石油由来ではない、日本の天然素材を使っていきます。世界有数の森林国である日本。2020年には、主伐期を迎える人工林が約7割とされるなど、森林資源はかつてないほどに充実しています。一方で人工林資源の活用は森林の成長量と大きな乖離があります。人工林は間伐しないと密集したまま樹木が細くなり、根も伸びず土砂災害に弱くなります。また高齢化した木はCO2吸収量が低下します。
外壁は杉
外壁は杉を採用、幅150mmです。
杉は持った感触が柔らかい、軽さを感じますね。そういうと、耐久性は大丈夫なの?と思われそうですが、軒が出て普段濡れなければ何十年も持ちます。
子どものころ遊んだ近所の公園を思い出します。自分の親も幼少期の夏休みにはラジオ体操をしていたその場所は、神社の境内にありました。少なくとも半世紀変わらない佇まいでそこにある神社の外壁は杉で作られており、大きな木や苔の生えた石畳と同じように何世代もの子どもたちを見守っていました。
もちろん、天然の木なので建てたときから日当たりその他の条件で変化はありますが、それを味として受け入れていく気持ちが、その建物だけでなく街を、景観と文化を作っていくのだと思います。
今回は軽井沢の自然の中に建つ賃貸なので、外壁は木にしようと最初から決めていました。
今後施工会社さんのヤードをお借りし、ウッドロングエコを自主塗装します。ちなみに、僕は以前オフィスも杉xウッドロングエコでつくりました。こんな質感になり景観にもなじんで気に入っています。
去年見学させていただいた「GOOD DAY 日詰」も杉を縦張りしてウッドロングエコでした。
床材は栗
床はクリ無垢材、幅110mmです。伊那市の有賀製材所さんのものを使用する予定です。
計画初期から栗にしたいという希望がありました。度重なる困難というか減額を乗り越え実現することができ、うれしいです。
栗は比較的水に強いのでキッチン周りに使用でき、また硬さのわりに素足で触った際の感触が良く冷たさを感じにくいです。こちらも保護のためのオイルを自主施工します。
無垢の木なのでもちろん傷はつきますし、注文住宅ならともかく賃貸で採用する例は聞きません。正直なところ貸主側としては無難ではない選択をしましたが、自分たちの信じる価値を、借りる方にも感じてもらえると考えています。
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皆が木を使いたくなるような美しい賃貸を作ること。これは建物の長期的な資産価値の維持や局所的な地域、景観へのプラスだけでなく、この国の里山や経済の在り方に対する疑問へのささやかな挑戦です。