実は札幌より寒い軽井沢
軽井沢に引っ越しされた皆さんが驚くのが冬の寒さ。
全然知られていませんが、実は軽井沢は札幌よりも寒いとも言えるんです。
出典:気象庁ウェブサイト
上の表は気象庁の過去の気象データ検索からダウンロードしたものです.
軽井沢と札幌で比較して、冬期の最低気温は明らかに軽井沢のほうが寒いのがお分かりいただけるかと思います。
12月(日)最低気温 軽井沢 -5.3℃ 札幌 -4.0℃
1 月(日)最低気温 軽井沢 -8.2℃ 札幌 -6.4℃
2 月(日)最低気温 軽井沢 -8.0℃ 札幌 -6.2℃
3 月(日)最低気温 軽井沢 -4.5℃ 札幌 -2.4℃
僕が最初に感じたのは、20年近く前でしょうか。旅行で1月の北海道を訪れた際のことでした。
北海道だからと一番強いダウンを着込み、ジンギスカンを食べるため札幌の店先で並んだ時に、「意外と寒くない、こないだ正月に過ごした佐久の実家と変わらないのでは」と思ったのです。
佐久は軽井沢の隣町で標高は300メートル近く低く少し暖かい地域です。そのジンギスカンは行列のできる人気店で1時間屋外におり、友達と話しているだけで動かなくても平気だったのは装備のためもありますが、寒いとされている北海道でも佐久周辺と変わらない場所もあるのだなと肌で感じました。
大きく異なる建物性能
もう一つ実感したことがあります。それは北海道の建物の中の暖かさです。
観光とスノーボード両方、数か所滞在する旅で、大きなホテルだけでなく小さな宿にも泊まりましたが建物内すべて暖かい。直前に過ごしていた佐久とどう違うのか、当時よくわかっていませんでしたが、今ならわかります。
それは適切に断熱された建物とされていない建物の違いです。室温は暖房つければ上がりますが、断熱してないと窓や天井、壁で温度差ができて、北海道のような包まれる暖かさにならないんです。気密性の違いもあります。いくら暖房をつけでも気温の低い外の空気が通るのでは熱は奪われますし不快です。
最新のデータによると、居住専用の木造、プレハブ住宅新築における、木と樹脂サッシの割合は北海道では97.1%とほとんどを占めています。一方中部では18.2%です。
(出典:「2021年3月版 住宅用建材使用状況調査」一般社団法人日本サッシ協会)
どうしてここまでの違いが生まれてしまったのかわかりませんが、昭和28年に公布された「北海道防寒住宅建設等促進法」では国の責務として「第三条 国は、防寒住宅の建設若しくは防寒改修又はこれらに関する試験研究若しくは普及事業を行う者に対し、財政上、金融上又は技術上の援助を与えるように努めなければならない。」と定められています。
北海道ではもう何十年も前から暖かい家にするために各種研究開発、実証試験などがされてきたわけです。促進法に北海道だけでなく、札幌より寒い軽井沢も入れてほしかったですね。
悲しくなるのは軽井沢で散歩していて新築現場を見ると、樹脂トリプル窓は3軒に1軒、付加断熱は最近増えてきたけど5軒に1軒くらいです。軽井沢に昔から住んでる人も札幌より寒いなんて知らないので、データ見せると『えっ』と驚きます。そんな気候なのに性能の低い窓だったり、気密スカスカの家でこたつに入って我慢していたりします。もちろん廊下トイレお風呂は命に関わるレベルの寒さ。
大袈裟でなく戸建賃貸に住むとわかります。
軽井沢で暖かく過ごすには
もう一度表を見てください。軽井沢は朝晩冷える一方、年間日照時間は300時間も札幌より長く、特に冬は2倍以上長い月もあります。
12月 日照時間 軽井沢 171.9時間 札幌 82.7時間
1 月 日照時間 軽井沢 181.6時間 札幌 90.4時間
2 月 日照時間 軽井沢 191.8時間 札幌 103.5時間
3 月 日照時間 軽井沢 194.8時間 札幌 144.7時間
これが何を示すかというと、北海道レベルで断熱気密して、さらに日射取得すればエネルギーも使わないし寒い思いをしなくてすむ、エコハウスが大きく生かせる地域だということです。
外皮性能はHEAT20の2地域G2でUa値0.28以下が目安、窓は樹脂か木のトリプルで日射取得>熱損失 という住まいがおすすめです。問題はそうしたデータが全然公開されていないこと。賃貸も性能で選べる時代に早くしないといけないなと思いますね。