賃貸住宅を計画するにあたり、先進地の岩手県紫波郡紫波町とその周辺を視察しました。
紫波町といえばそう、民間主導型の公民連携まちづくりで有名な「オガールプロジェクト」の地。そこに素晴らしい賃貸住宅があると聞き、建築は実物を見ないとなあと思っていたところに近所の友人で賃貸を作ろうとしている、うまたつ氏からお誘いがあり、現地で見ることができました。
友人のレポートはこちらで公開されています。
楽しみだった訪問先は「GOOD DAY 日詰」ファミリー層向けの賃貸住宅です。
案内はこの賃貸住宅のオーナー、暮らしすた不動産の星 洋治代表取締役。星さんは実際にこの賃貸で暮らされており、今回はそのお部屋を見せていただきました。
構造は木造地上2階建て、視察時はA棟B棟の2棟で4世帯でしたが、需要があるとのことで増棟工事の準備に入られていました。
現在では南側にC棟(3戸)が作られ、満室稼働しています。
なんと賃貸でも外壁は天然素材なことに外観から驚かされます!!外壁は杉無垢目板押さえ、塗装はウッドロングエコ。
意匠と初期費用、経年での維持管理から鉄板の組み合わせですね。
それにしてもこの銘板、センスが光ります。暮らしすた不動産の社員設計士さんによるものだそうです。
室内に入ると、賃貸というイメージとは全然違う内装に驚かされます。賃貸なのにカラマツ無垢フローリング!天井の一部には杉羽目板!壁は漆喰で玄関部分にはOSB合板を露しにしており、自転車ラックなどが取付できるようになっています。
キッチンにもタイルが使われており、南側の階段部分は吹き抜けと、賃貸らしからぬ室内にテンションが上がります。
この窓回りの厚みが断熱量を物語っています。スペックとしては天井断熱が吹込グラスウール400mm、壁は高性能グラスウール305mm、窓サッシはすべて樹脂トリプル(三協アルミ製)だそうです。
南側が吹き抜け階段になっており、大開口で窓を配置し日射取得していました。
訪問日は2020年11月1日、もはや東北は冬でしたがこれだけ断熱し日射取得していると、無暖房でも南国の日陰のような室内環境です。
換気もしっかり第1種熱交換タイプ。賃貸で熱交換は初めて見ました。機種はダクトレスのLT-50 Eco(スティーベルエルトロン製)。壁厚があるからか珍しい設置方法です。
ここまで気合の入った建物だと、さぞかし高いのではと思ってしまいますが、そこはうまくコストをコントロールされていました。
例えば階段。
踏み板にツーバイのSPF材、斬新なアイデア。
吹き抜けの手すり部分も、鉄やステンレスにガラスだととてもお金がかかりますが、高くない建材を使ってでもシンプルで全体の雰囲気に合うように作られていました。
土地は分譲地の一画で、新幹線の線路に面しているため土地の費用を抑えることができているそうです。高架がありますが、分厚い断熱とトリプルガラスで列車の音は全く気にならないとのこと。
植栽と庭によって窓からは緑が見え、また隣棟も比較的近いのですが自然素材のため圧迫感はありませんでした。
紫波町に行ったからにはということで他オガールタウン、オガールネスト等の先進事例も案内していただきました。後編に続きます。
コメント
Comments are closed.