六花荘が上棟しました。
スタイロフォームの台に置かれ、青白い色に染まった上棟飾り。
急遽施主として一言挨拶をすることになり、その場で六花荘ができるきっかけを思い出しました。
それはちょうど一年前、暮らしと建築社さんからの相談です。
話を聞くと、最近軽井沢での問い合わせは、数年はここに住む、だけどその先も軽井沢で暮らすかどうかわからない家族が多く、住宅を設計する以外の解決策があるのでは考えている。また建築家の手による注文住宅は、少なくとも設計開始から引き渡しまで1年は必要なため、それを聞くと待てないと建売を購入される方もいる。本当にクライアントのことを考えたとき、賃貸が解決策になるのでは、とのことでした。
そのころ僕も子どもたちが通う学校の保護者から、必ずしも建売を買いたいとか注文住宅を作りたいというわけではなくて、賃貸の性能が劣悪なため今すぐにも引っ越しする必要があり、土地や家を買うことを強いられている話を聞いていました。
そうして短期間で手に入るものを求めた結果、都会の狭小地のような形状で開発される住宅地、失われていく森。そこには買い手がつく前からあらかじめ建物が建ちます。
僕らはこんな結果を作りたくてこの町に引っ越してきたのかと、疑問を口にする友人は少なくありません。
高額の光熱費、寒くかびやすい室内環境、災害や火事の危険に悩まされることのない良質な住まいを、移り住む人たちがその期間共用することが解決策になるのでは、そこには世間がまだ気が付いていない価値があるのではと感じ、進めてきました。
コモンズとはちょっと違うけれどそれに近い、地域の景観と環境を良くしながら事業を進めていき、あるべき姿を形にしたいと考えています。